特許取得の最新鋭「窒素」生成システムを導入、
さらなる鮮度保持と安全・安心を追求します。

これまで水産物の永年の課題は、いかに鮮度を保持するか。おもな鮮度の低下は、空気中の酸素による酸化、細菌の増殖、魚介類内部の酵素によって劣化していきます。これらを抑制するために様々な保存方法が開発されてきましたが、冷却用氷には酸素が含まれること、好気性の細菌増殖は防止できないため、出荷から消費者の食卓まで短期間の猶予しか与えられません。
 しかし、21世紀に入り、ついにその課題に答えを見つけることができました。それは、「窒素」です。私たちは新・加工センターに、窒素を活用した3つのシステムを導入しました。酸化を防止し、細菌の増殖を抑制します。これによって、鮮度の保持効果が長くつづきます。窒素は大気中におよそ78%存在しているため、人体にも安全であることは立証されています。導入したシステムも大気から窒素を抽出する仕組みのため、環境に負荷をかけることもありません。また、鮮度保持が長くなるということは、販路が海外にも広がるという可能性が現実的となります。
 そして何よりも、消費者にとって新鮮な味覚を、より安全・安心にご堪能いただけることです。
窒素水による洗浄
道東エリアの水産物は、私たちが運営する中標津町地方卸売市場へ毎日のように入荷されます。厳選された新鮮な魚介は、市場に隣接する新・加工センターにすぐさま運んで解体します。そして、この際に用いられるのが窒素ガスを封入した「窒素水」。新鮮といえども、入荷するまでに酸素にふれて雑菌が混入するおそれがあります。
加工・乾燥する前の段階において窒素水によって魚介をベテランのスタッフによる手作業でやさしく丁寧に洗浄します。もっとも重要な工程のひとつです。
窒素温風による乾燥
おもに干し魚として加工する際には、専用の「窒素封入温風乾燥室」を使用します。ここでは高温の窒素を噴出して、天井部に設置した複数台の扇風機で室内のすみずみまで窒素を行きわたらせます。専用の操作盤で、天候や気温・湿度に応じた綿密な乾燥設定を調整して、出荷時にもっとも適切な仕上がりを可能にします。専用ラックも窒素がムラなく当たるよう工夫、表面はカリカリ、中面はしっとりとした干し魚を味わえます。
 酸化防止と雑菌の繁殖を考慮して、あえて乾燥室を使用することにより新鮮なまま短時間で出荷できるようになったのもメリットです。
窒素氷による保存・運送
「窒素ガス封入氷製造システム」は、酸素を含まない「窒素氷」を生成します。大気中から窒素ガスを抽出して真水や海水に注入、窒素は水中の酸素を置き換えるように追い出します。この際、窒素は他の物質と結合しないため、純度の高い窒素水を生成してこれを凍結させることで窒素氷ができるのです。
 鮮魚の場合、その保存と運送には冷却することが必要となりますが、窒素氷は、冷却しながら酸化を防止し、細菌の増殖を抑制します。これによって、鮮度の保持効果が長くつづきます。かりに氷が溶解しても、酸素を含まない窒素冷水となり、その効果は持続します。
 窒素氷はシャーベット状から角氷までの形状で生成することができるため、鮮魚の種別や梱包スタイルに応じて活用することが可能です。